東京工大名誉教授生物学者の本川達雄(モトカワ タツオ)先生は棘皮動物(ウニやナマコの仲間)の専門家である。生物に関する歌を作詞作曲するシンガーソングライターとしても活躍しており「歌う生物学者」としてテレビ番組でも紹介されている。

さて今回取り上げるナマコ。のっぺらぼうで頭がどこにあるのか分らない。脳もなければ筋肉は体重の7%しかなく長く突き出た脚もない。そこに至る「知恵」について解説している。

我々は大昔からナマコを食べている。古事記にも登場している。ナマコを食べる民族の中で無類のナマコ好きは中国人である。さてナマコは「ないない尽くし」である。感覚器官や脳だけでなく心ぞうや血管もない。筋肉もほとんどない。ナマコは体重の6割が皮で筋肉はたったの7%しかない。ナマコは砂の上にゴロンと転がりほとんど動かない。この砂を食物としている。砂の間に生物の遺骸などの有機物のかけらや卵などが混じっている。ナマコが捕食を免れているのは魚に対してサポニンという毒を持っているからであるが人には無害である。

もう1つの仕掛けが硬さの変わる皮である。この皮を硬くして身を守っている。

どの魚も軍拡競争をしてお互いに食べ合っているが、この連鎖から逃れるために自分の体をおいしくなく栄養価を低くして捕食者に食うのをあきらめさせているのがナマコの戦略である。

このナマコのすごさを正岡子規がこんなふうにほめている。

「世の中を かしこく暮らす海鼠(なまこ)哉」。

あくせくせず悪知恵を絞ることなく生きていけば、これが一番賢いやり方だろう。

ナマコは賢い、頭がいい!

でもナマコには脳がない。

 

(追伸)

週末より孫達がやってきて、病院へも顔を出した。

二人共、成長が著しかったです。

家では、まりかが離乳食が始まり、白米もりんごも、むしゃむしゃには驚きました。

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