加齢黄斑変形
この病気は加齢で発症する目の病気です。
網膜の中心部の「黄斑」に異常が起き、見たいものが見えなくなります。
治療を受けないと失明に至ります。
黄斑の下に水がたまる「滲出型」が圧倒的に多いです。
血管内皮増殖因子(VEGF)によって細い新生血管ができ、それが破れたり血液や水分が染み出したりします。現在の治療はVEGF阻害薬を目の中に注射します。しかし1回で終わらない欠点があります。ところが新薬、ブロルシズマブ(商品名ベオビュ)が登場し、3ヵ月に1度の治療で良くなりました。
予防も必要です。加齢のほか喫煙、野菜・果物などの抗酸化作用のある食物の摂取不足、日光暴露、運動不足、肥満などが原因です。特にサングラスは予防に欠かせません。緑内障と並んで50才以上では定期検診を受けましょう。
知らないと
何となく自分にはあてはまらないだろうとタカをくくる血液数値。
善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)のお話は何度もしましたが、LDL=300でも「別に」と取り合わない人が数人居るのも事実です。今日は病原体から守る免疫系にもコレステロールや中性脂肪のバランスが大きな影響を与えることが分かってきたというお話です。
今年の米国の内科専門誌に「HDLが高いほどその後、肺炎で入院するリスクは低下。中性脂肪が高いほどリスクが増加する」と発表されています。
脂質のバランスが良いと免疫の力も強くなり、肺炎にもなりにくいことが推測されます。
中性脂肪のコントロールは動脈硬化の病気ばかりでなく肺炎の予防にも役立ちそうです。
運動、食事、体重のコントロール、ひいては内服薬を使って健康な体を作って下さい。
ゆうちゃん
孫の悠里(ゆうり)が10月18日で11才になった。
たかが孫の話ですが、ゆうりは生誕の時よりずっとブログに載せてきたし、患者さんの中でも特に女性ファンが多い。有り難いことです。
みなさんの応援のおかげで小学5年生になり11才の誕生日を迎えることが出来ました。
また、まりか(3才)が途中でやっと生まれて、ゆうりの「妹が欲しい」の連発で悩まされて(?)いた娘夫婦も落ち着いたのでした。
私が元気な限り、成長の証をブログに載せて行きたいと思います。
それにしても、まりかが幼いのも手伝って「すっかり大人びてきたなあ」と実感する最近のゆうちゃんです。
みなさまからのプレゼントに喜色満面のゆうりです。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
尚、本日、10月26日は私の結婚40年(ルビー婚式)になりました。
秋バテ
急に冷えこんできた昨今。やはり日本は四季から二季(夏、冬)の時代に入ったと思われる。
いずれにしてもあの暑い夏から急に秋、冬へとなって体調不良や、やる気が出ない等の「秋バテ」が多く見られます。
秋バテは疲労感、だるさ、頭痛、めまい、便通異常、不眠、食欲不振、ヤル気の低下等の症状が表れます。
原因は自律神経に大きな負担がかかって乱れてしまうからです。主な原因は「気候の変化」と「日照時間の短縮」です。現在、猛暑の夏から肌寒い秋、冬への対応に(体温を一定に保つために働いている)自律神経はフル回転をしています。気温の変化の影響を小さくするには、カーディガンやジャケットを持ち歩いて、こまめに対応して下さい。
それと日照時間の短縮により、セロトニンの分泌が減り自律神経が乱れます。セロトニンを分泌させるには日に当たることと、朝に軽く散歩をするなど外に出て分泌のスイッチを入れて下さい。セロトニンの材料となる「トリプトファン」を摂ることも大事で、味噌汁、納豆、豆腐なども十分摂って下さい。
柿
柿の季節がやってきました。日本や中国が原産国。学名も「KaKi」。種類は1000種あり、渋味のもとであるタンニンが水分に溶けない「甘柿」。タンニンが水に溶けて渋味を感じる「渋柿」に分けられる。
柿を生で食べると100g当たり60㎉。ビタミンCはミカンの2倍以上で100g当たり70mg含まれています。
完全甘柿のうち半分以上占める富有柿は1個150~200gなので1個食べれば1日の接種目安の100mgのビタミンCを摂取できる。小腹がすいた時のおやつにお勧めです。
柿には食物繊維、ビタミンA、葉酸、カリウムやマンガンなども豊富に含まれています。
柿を選ぶ時は実が鮮やかなオレンジ色でヘタが緑色で乾燥していないものがベスト。
軟らかくなりすぎたら、冷凍してシャーベットにしたり牛乳と一緒にミキサーにかけてスムージーにして食べるのもお勧めです。
天然痘
コロナ流行の今年であるが、100年前のスペイン風邪の話は以前にしました。
疫病は時代をさかのぼれば、いくつもありその度に人間はあらゆる知恵で対抗してきました。
今回は「天然痘」のお話です。
別名、疱瘡は6世紀頃にわが国に伝来し、江戸時代には各地で猛威を振るった。感染力が極めて高く、死亡率は20~50%に達する恐るべき疫病であるが、唯一の救いは一度かかれば免疫が生じることである。
イングランドのエドワード・ジェンナーが1796年に開発した牛痘接種法は確実性と安全性によって急速に普及し、わが国にも「オランダ風説書」を通じて情報が入った。シーボルトの弟子の佐賀藩医の楢林宗建がオランダ商館を通じて入手した牛痘痘苗を長崎で自分の子供に植えて持ち帰り藩の全面的な協力を得て、広範囲に接種を実施した。
後に「お玉が池種痘所」が出来、蘭方医が増員されていった。順天堂や適塾の開設などが続き、近代医学の夜明けが近づいたのである。
「免疫」の獲得。今、コロナに対する免疫をいかにして全人類に獲得させるか。いつの時代も学者は闘いの毎日なのです。
(追伸)
ゆうり、まりかの姉妹は、とても仲良しです。
8才も違うとゆうちゃんは完全にママ役ですね。2人仲良くアイスを食べています。
さて、まりちゃんは9月よりピアノを習い始めました。
まだまだドレミの段階でしょうが、結構、上手に両手で弾いているようで驚きです。
ゆうちゃんの影響でしょうか?
副腎不全
原因不明の体調不良や体のだるさの時に疑う病気の1つに「副腎不全」があります。
腎ぞうの上にある小さな臓器ですが、いわゆるステロイドホルモンを分泌しています。
ステロイドはストレスと戦うホルモンです。体に病気や過労などのストレスがかかると、それに耐えるためにステロイドホルモンが分泌されます。
ところが副腎の働きが悪かったりすると副腎不全になり、体はだるく重く感じ、進行すると血圧が低下し低血糖になり低ナトリウム血症にもなります。
原因不明のだるさが続くときはホルモンの異常を疑う必要があります。
(追伸)
以前にお話した、盲導犬ばん君が再び飼主と来院しました。ラブラドール・リトリーバーはとても賢い犬です。診察室でも「sit(座れ)」の命令できちんと左横に座って動きません。ばん君は6才ですが患者さん曰く、「9~10才で引退することを考えると、今から辛い」と。
皆さん、当院で見かけたらどうか優しい気持ちで接してあげて下さい。お利口の写真をどうぞ。(尚、飼主の同意を得ております。)
AⅠの時代
世の中、「人の知能はいらない。AIがあるから」という風潮が最近、よく見られる。何でも機械、コンピューターに頼る。それ自体は効率的でスピーディーかつ正確なので時代と共に益々、進化して行くでしょう。
しかし、10月1日の東京株式市場のシステム故障はこの風潮に一石を投じる形となった。日経春秋の10月2日にも書いてあるが、昔は東証には「場立ち」と呼ばれる証券マンが満員電車のようにひしめきあっていた。
超アナログである。手話のような身ぶりで銘柄、株数、売り買いの伝達。中~高年の方なら皆、覚えている映像である。春秋欄では「窮地を救うべく老いた元証券マンたちがハンドサインで売買を再開したらどうだっただろう」と想像を膨らませている。
話は変わって、我々、医療の世界の話。最近は盲腸(虫垂炎)の手術も腹腔鏡で行うようになった。若い外科医は認定数アップのために、とに角、腹腔鏡でやりたがる。ところが東証と同じく、ある日、腹腔鏡の消毒が出来てなかったら「今日は手術出来ません。」と言うらしい。我々、古い外科医はそんな機械はなくてもメス一つでやってきたし、そんな時にすぐに替わってあげられる。
皆さん、コンピューターの現代ー少し立ち止まって考えることも必要ではないでしょうか?
尿のトラブル
男性の尿のトラブルには前立腺肥大が関与しています。
この危険因子にはメタボがあります。肥満になると「インスリン抵抗性」が起こり、食後高血糖になって前立腺に炎症が起こるのです。また肥満になるとテストステロンも低下します。この「テストステロン低下」も前立腺に炎症を引き起こします。
以前にも書きましたが、テストステロンは男性ホルモンで20才をピークに加齢と共に分泌が低下します。肥満は、その低下を助長します。「メタボ」「うつ」「ED」「下部尿路症状」などはテストステロンを媒介しリンクしています。
テストステロンとうつはリンクしているのでテストステロンが低下すると扁桃体から嫌な記憶が噴き出してしまい、うつや不安などの原因になります。またテストステロンは全身の血管内皮などから放出される「NO(一酸化窒素)」という物質を作り出します。NOは血管を拡張させたり平滑筋を弛緩させたりする働きがあり、全身のしなやかさを保つには欠かせません。
結局、「メタボの治療」「コントロール」「運動習慣」「精神的ストレスの解消」「前立腺の炎症を抑えるサプリの使用」等が大切だと思います。