よく国体検診などで多くのアスリートの心ぞうを胸部レントゲンで拝見します。明らかな心肥大を起こしています。これだけの画像をみると、よくある高血圧や心疾患のもの(病的肥大)と区別がつきません。
では何が違うのでしょうか?アスリートの「スポーツ心臓」は正常な心臓の筋肉が肥大しています。しかし病的な心肥大は筋肉よりも線維などの成分が異常に増殖して見た目は肥大であっても実際には心臓の働きは低下しているのです。
さて、運動も高血圧も「心ぞうに負荷がかかる」という点には違いがありませんがどこが違うのでしょう?
運動は「マイクロRNA」という特殊な遺伝子のかけらのようなものが増えるので正常な筋肉が肥大します。ところが高血圧のような病的な負荷ではそうした遺伝子産物の増加は起こらない。これが両者の違いです。
臨床では両者の更なる違いは心エコー等で病的かどうかのチェックを行います。
「良い心肥大」と「悪い心肥大」のお話でした。

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