9月17日(土)、お茶の水の「銀座アスター」で東医歯大時代の胃の研究班の仲間8人が集まった。
胃班の他に大腸班、食道班、肝班、等があったが、私は研修医時代に一番興味を抱いた「胃」の研究をすることにした。ビーグル犬に発癌物質の含まれたエサを与え、それから3~6ヵ月経つと胃癌が出来る。実験モデルとしてはラットより丈夫で、胃カメラもヒトと同じように出来る。
さて当日は中華料理を食べながら、各自の近況を述べた。杖が要る方が2人。前立腺癌や大腸癌を克服した方もおられた。やはりこれからは「癌」特に「膵臓癌」の克服に医療界は全力をあげるだろう、と。膵癌の完治例は東京でも極めて少ないと「沈黙の臓器」にみんな、腕組みとなった。最高齢のK先生は80才だが、「100才まで生きるよ!」と意気軒昂であった。私も真似しなくてはと勇気づけられた一夜であった。
再会を期して懐かしいお茶の水駅で別れました。

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お盆を過ぎた8月下旬~9月の初めにかけては、夏の間にボロボロになった胃腸に悩む患者さんがグッと増えます。夏の胃腸の疲れは秋口に出てきます。「食欲の秋」を迎えるために今こそ胃腸を整える必要があります。さて何故、夏に胃腸の調子が崩れるのか?
その要因のひとつが「お盆ストレス」です。
米国の心理学者のホームズとレイの2人は人生に起こる種々の出来事の「ストレス度」を数値を用いて評価しています。「配偶者の死」を100とすると「離婚」は73、「退職」は45といった具合です。又、「長期休暇」は13、で「法律違反」の11よりも高くなっています。実は夏休みはストレスのもとなのです。お盆で多くの人のお世話をし親戚に気を使ったり、又帰省ラッシュなど休みが終わったらみんなグッタリ・・・。思い当たる人は多いはずです。
2つ目の要因は自律神経の乱れです。夏場の急激な気温の上昇に対して体温調節がついていけなくなる、いわゆる「夏バテ」の状態となります。自律神経のバランスが崩れると食欲が低下し免疫力も落ちて胃腸炎などの病気の原因になります。
さてその大きな味方は「大根おろし」です。夏大根の辛味は食欲を増し胃の粘液量を増やし胃の運動を高めてくれます。更にジアスターゼが疲れた胃の消化を助けてくれます。生ですりおろして食べて下さい。一助になれば幸いです。

 

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(追伸)
週刊少年ジャンプの人気漫画「こち亀」が1976年から40年続いた連載を終了した。
秋本治さん(63才)本当にお疲れ様でした。
しかし、私は連載マンガとしては「こち亀」は愛読書「コルゴ13」より続くと見ていた。何と言っても、1968年より「ビッグコミック」で連載執筆中のさいとう・たかを氏は現在79才と高齢だからである。
こうなったら、さいとう先生には100才までがんばって欲しいと思っている。
たかがマンガ、されどマンガなのです。

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6月から10月までは食中毒の季節です。友人の漢方医から教わりましたが食中毒にも漢方薬が効くというお話です。
それが香蘇散(こうそさん)です。これはシソ、ショウガ、ミカンの皮などでできています。なかでも注目はシソです。シソには青ジソと赤ジソがあり、青ジソは殺菌、防腐効果が有名です。日常的におにぎりに混ぜたり弁当に入れたり、刺し身の横に添えられていますね。赤ジソは梅干しや、紅ショウガの色付けに使われます。
食中毒特に魚介類でお腹を下すことが多い人は、この香蘇散を常備しておくといいと友人は言います。またこの薬は胃腸薬にも用いられ風邪のひき始めにお腹を下した場合に適しています。
尚、風邪に効く葛根湯は胃腸にくる風邪には向いてないことも覚えておいて下さい。
何より食中毒ー注意して、ならないようにして下さい。

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3大激痛のひとつが「尿路結石」。
背中~わき腹の強烈な痛みが時間と共に下腹部へ移動する。石が腎ぞう→尿管→膀胱→尿道と下りてくるからである。
さて結石は腎ぞうにとどまっているうちは痛みがありませんが、いったん尿管に落ちると七転八倒になります。結石は尿管に詰まると尿が流れなくなり水腎症になったりまれですが腎ぞうに小さな穴が開いて尿が漏れ出て激しい痛みを感じます。
人の尿管は平均25cm。部位によって神経支配が異なるので背中~下腹部にかけて帯状に痛みを感じる範囲が移動する。よく背中と下腹部の2ヶ所に痛みを訴える人が居ますが、石が2個あるのではなくて1つの石が2つの機序で痛みを発しているのです。ウエストのベルトの上を叩くと飛び上るほど痛いのが叩打痛と言って泌尿器科特有の症状です。痛みを取るには内服、座薬、点滴を使うが結石を取る治療をするかどうかは大きさが目安になる。直径10mm未満は水分をふやし点滴をして自然排石を待つ。1カ月以上出なければ結石除去治療を検討します。有名な「体外衝撃波破砕術」や「経尿道的結石破砕術」があります。
尿路結石は発症から5年以内に半数が再発します。
食事や生活習慣も見直して下さい。

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「足がつる」人は外来で実に多い。
国際医療福祉大熱海病院の〆谷先生は次のように解説する。
睡眠時に足がつる主な原因は「血行不良」です。足の血流が悪くなると筋肉が収縮しやすくなり足がつりやすくなるのです。
通常、足がつるのは長い立ち仕事や運動の後です。筋肉が長時間緊張したことで筋肉のセンサーが誤作動を起こし異常な収縮が起こるのです。また発汗により血液中の水分やナトリウムが排出されると他の電解質のバランスも崩れて神経や筋肉が興奮しやすくなることも原因です。
さて睡眠中に足がつるのは「冷え」による血行不良が主だそうです。そもそも睡眠中は体幹部に血液が集まるので手足の血流が低下し足がつるリスクが高まるのです。その予防には適当な運動をして足の筋肉をつけることです。(スクワット等)。
病気から起こるのは頸椎間板ヘルニア、糖尿病、腎不全、閉塞性動脈硬化症などがあります。
主治医と相談して下さい。

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脳は一体、楽天的なのか悲観的なのか?
聖路加国際病院の精神腫瘍科部長の保坂Dr.の論文を読んでみました。
脳は過去を振り返れば後悔、将来を考えれば不安を感じる根暗な器官です。悲しいとか怖いというネガティブな感情をつくり出すのが仕事です。これを抑えようとするのはムダなので不安や怖れを感じたら「ああ脳が働いているのね」と突き放して考える。大切なのは、脳がつくり出すネガティブな感情を打ち消そうとするのでははなく、溺れないことなのです。
そのためには一度にひとつのことしか集中できない脳の性格を利用するのも手です。
例えばゴルフの練習場で汗を流す、コンサートを聴きに行く等すれば不安な気持ちは払拭されます。最近では「マインドフルネス瞑想」も効果が確認されています。ネガティブ思考が浮かんでも、それを「ただ眺めているだけ」という対処法です。
「元来、脳はネガティブなものだ」と分ったら、少々、嫌な事が浮かんでも「そんなものさ」となります。
是非、発想の転換をして下さい。

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夏になると全国で海水浴へ行きます。しかしこの夏に海水浴をしてから胃腸炎になったという人が何人か来ました。
そこで全国の医学雑誌を調べていると興味ある事に気付きました。
ゲリラ豪雨などの大雨が降った後は下水などの汚染水が海へ大量に流れ込みます。気温や水温が高いこの季節は、ジメジメした環境が細菌の増殖に好都合なので細菌感染症が増加するのです。
特に汚染された水に触れた手を経由して細菌が口から体内に入って感染性胃腸炎を起こします。2007年に全米3000ヶ所の海水浴場で水質調査が行われ3割が一時閉鎖されたとあります。
日本では毎年6~7月に環境省が海水浴場開設前の水質検査結果を発表していますが必ずしも大雨後に測定しているわけではありません。
大雨後の海水浴には水道水による手洗いを励行して感染予防をして下さい。
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