国立がんセンターは2003~06年に、がんと診断された人の10年後の生存率は、がん全体で57.2%だったと発表した。昨年より0.8%上昇した。

特定のがん細胞を狙い打ちする分子標的薬の登場や早期発見の診断技術の進歩による。

今後もがんゲノム医療やオプシーボをはじめとする「免疫チェックポイント阻害剤」の効果で上昇していくと思われる。

部位別で生存率が高ったのは前立腺(97.8%)、乳がん(85.9%)、甲状腺がん(84.1%)、最も低かったのは膵がん(5.3%)で肝がん(15.6%)、胆のう胆道がん(18%)が続いた。

ますますの生存率の向上を期待しています。

 

みなさん、日本のコインは中国式なのを知っていましたか?

西洋のコインはローマもギリシャも穴が開いているのは一つもない。実は世界のあらゆるコインの中で穴が開いているのは中国式だけなのです。

この穴は時代劇でも、ひもを通して1000枚のかたまりを一貫文(かんもん)として取引に使っているのをTVで見たことがありますね。日本では今でも五円玉を穴あき銭にしています。いまは、中国が穴あき銭を発行していないのでおそらくこれが世界唯一のものでしょう。

穴の有無は中国でコインは鋳造(ちゅうぞう)したからです。材料(銅など)の金属を溶かして型に流しこんで成型する鋳物(いもの)だったのです。

では西洋のは何故穴がないか?それは西洋のコインは鋳造ではなく鍛造(たんぞう)という作り方です。金属を溶かさずハンマーなどで型に合わせて打ち抜いたり叩いて整えるやり方です。

日本でも金貨である大判小判はそれで造られています。所変われば品変わる。

通貨のお話でした。

(追伸)

久しぶりに、ゆうり、まりかの写真です。

2人共に、すくすくと大きくなってきています。

果物大好きのまりかは、さくらんぼを独り占めでおいしそうです。

昔々の話を孫によくしてやりますが、その中に「鶴の恩返し」と「天女の羽衣」があります。

美女に、か細い声で「一夜の宿を・・・」と言われ泊めてあげたら、そのまま棲みついて甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた上に、見たこともないような美しい高価な布を織ってくれた、と言う話。子供心には「いいなあ」としか、感想はなかったです。

次に富士山に近い「三保の松原」が有名な「天女の羽衣」。天から降りてきた「天女」が羽衣を松の枝に掛けて海で遊んでいた。それを覗き見していた漁師が松の枝に掛けておいた羽衣を隠したために天女は飛べなくなってしまう。ここから先は各地で色々あり「近江型」は、天女が仕方なく漁師と結婚して子供を産むものの隠された羽衣を見つけて天に帰る。「丹波型」は、帰れなくなった天女を老夫婦が引き取り、なぜか酒を造るのが上手い天女のおかげで金持ちになれたのに、「自分の子ではない」と追い出してしまった、とか。

日本は広いですね。

 

「認知症」は本当にこれから大事なテーマであり、薬の開発のみならず予防法がさまざまな文献に投稿されている。

興奮や攻撃性といった周辺症状を抑制する薬はあっても「治す」薬はない。

さて今回は予防法でお勧めなのが「歩幅を広くする」だ。国立環境研究所の谷口優研究員の発表を参考にしてみる。群馬県と新潟県在住の1000人以上の歩行を測定し歩幅を「広い」「普通」「狭い」と3つに分け4年間以上、認知機能の変化を調べた。

666人のうち認知機能の低下が最も多く見られたのが歩幅の狭い群。最も少なかったのが広い群であった。狭い群のリスク比は3.39倍で普通の群は1.22倍。疫学調査で3倍のリスクの違いが出るのは珍しく、それほど歩幅が認知機能の低下に大きく影響するそうです。

これまでも歩行速度(歩幅×歩調)が落ちると認知のリスクが高くなることは指摘されていたが、歩幅と歩調のどちらが関係しているかが分からなかった。結果は歩幅で、歩幅を広げると脳と足の間の神経伝達が刺激され脳の活性化が期待できるそうです。

是非、ためして下さい。

 

今月の私の誕生祝を患者のMさんからいただいた。

Mさんは当院に20年来、通ってくれている方である。

「遅くなりましたが・・」と言って持参してくれたのは、私の好きな「ふくろう」の木彫りであった。

木の枝で待ち伏せて音もなく飛び獲物に飛びかかることから「森の忍者」と称されている、ふくろう。「不苦労」と呼んで縁起物である。

Mさんは長浜で木彫りをやっている方に頼んでくれていたのだが、膨大な時間を費やしてやっと完成して持ってきてくれました。とてもすばらしい彫り物です。裏には私の名前も。又、プレートには私の好きな「一期一会」の文字も。医者と患者の出会いは、まさに「一期一会」なのです。今日が最後と思って診察に専念しています。

感謝の一言です。Mさん、ありがとう。

 

 

 

 

精神的ストレスが加わり続けると脳が反応してさまざまな弊害がもたらされる。

ストレスによる反応は2種類あります。

①ノルアドレナリン神経が働いて脳内物質ノルアドレナリンが分泌されます。すると「戦いモード」にスイッチが入って集中力や緊張感が必要な場面で役立つ反応です。

②ストレスが加わり続けると脳内のストレス中枢が興奮して今度は抵抗しなくなり、脳がフリーズ状態になって心身に悪影響を及ぼします。

脳が抵抗をやめてしまうとストレスから体を守ろうとしてコルチゾールが大量に分泌され高血糖、高血圧となり免疫力が抑制されて、さまざまなストレス性の病気が起こる。またストレス中枢の興奮によって「うつ」というメンタルの低下も起きます。

ストレスから脳を守るにはセロトニンの分泌が重要です。セロトニンを増やすには①太陽を浴びる②リズム運動をする③グルーミング(スキンシップ)をする、が大事です。

③ではオキシトシンという愛情ホルモンが分泌されセロトニン活性を促します。

あとはトリプトファンを含む食材(大豆製品、ナッツ、アボカド、バナナ)、ビタミンB6を含む食材(魚類、ニンニク、ショウガ)、炭水化物を含む食材(ご飯、パン類、イモ類、果物)を適度に摂って下さい。

 

外来をしていると「おでき」が出来たと来る人は実に多い。

毛穴の奥の毛根を包んでいる部分(毛包)に炎症が起こる「毛包炎」は全身どこにでも出来ます。

原因は主に「黄色ブドウ球菌」や「表皮ブドウ球菌」といった皮膚常在菌の感染です。

毛包部に軽い傷がついたり、汗などで湿った状態が長く続いたり、免疫力の低下などが誘因となります。毛包炎は毛穴に赤みを帯び中央に膿をもった盛り上がり(膿疱)が見られます。悪化して膿疱に硬く触れる「根」をもつようになると「せつ」と呼ばれ、赤く腫れて痛みや圧痛を感じます。

一般に「おでき」と呼ばれるのは「せつ」のことで顔の鼻の部分にできると俗称「面疔(めんちょう)」と呼ばれます。せつがさらに悪化すると「よう」と呼ばれます。強い痛みと発熱が出ます。

是非、たかが「おでき」と馬鹿にしないで早目に受診して下さい。

今日は私の東医歯大の先輩で(歯学部)松本歯科大の笠原浩特任教授の論文から引用します。

江戸時代の医者は御殿医と町医者に大別される。御殿医は朝廷や幕府、各藩のお抱え医師である。町医者には特別な資格も規制もなく、だれでも自由に開業できた。きちんと勉強した人も居れば医学書もろくに読まない「ヤブ医者」が共存した。

江戸時代には既に今の「内科」「外科」「小児科」「産婦人科」「堕胎医」「眼科」「歯科、耳鼻咽喉科」が存在していた。

高額の医療費を払えない貧しい庶民たちが頼りにせざるを得なかったのは、安直な町医者や格下の医療者たちであった。

出産のほとんどが「産婆」によって扱われたのはその好例で、鍼治療は「座頭」と呼ばれた盲人の職業となっていた。

医者の報酬は「薬礼」と呼ばれた。やはり医者も「仁術」とタダにする訳にはいかず、世間相場も決して安くなかった。そのため親の難病の治療に高価な薬が必要だと言われて遊郭に身売りする孝行娘の話がいくつも転がっていた時代である。しかし読んでいると、貧しい人達に安価で時には無料で必要な医療を施していた良医もいた。

「甲斐の医聖」と呼ばれた永田徳本など、すばらしい医者も居たようです。

 

昔から手や指をケガした時に傷をなめたことはないですか?母親に言われて「なめていたら治る」と言われた記憶があります。しかし他の動物にも同じ行動がみられます。

今回は「唾液の力」について考えます。

唾液は唾液腺から分泌される。耳下腺、顎下線、舌下線から分泌されますが、実際には口腔内に広がる粘膜から分泌されます。だから唾液腺の手術をしたから唾液が急に少なくなるわけではありません。

さて唾液の役割は①食物を柔らかくさせ、そしゃくしやすいようにする潤滑作用。②むし歯を予防する役割。酸性化するとむし歯になりやすくなるので中和する。③抗菌作用や粘膜の修復作用。

特に③についてヒスタチンと呼ばれる唾液中のタンパク質が血管の新生、細胞同士の接着などに影響し、傷の再生を促進することが解明されています。

やはりケガをしたら、すぐ「なめる」か?

あまりこの検査は最近行われないですが、船舶免許診断書等には残っています。

色の見え方(色覚)には多様性があり、生まれつき色の見え方が多くの人と少し違う人がいます。

日本人では男性で20人に1人、女性は500人に1人の割合です。

決して白黒の世界ではなくカラフルな見え方ですが混合しやすい色が多くの人と異なります。

色の見え方は生涯変わらないので悪くなることはありません。

ただ人々の安全を守るため鉄道運転手や航空管制官にはなれません。警察官、自衛官などは色覚の程度によって就職できない場合があります。

更に気になることがあれば眼科で精密検査を受けて下さい。自分の「色覚特性」を知っておくことは大切です。