70歳を表す「古稀」は中国の詩人、杜甫の詩にある「人生七十古来稀なり」に由来しますが今や70歳は“稀”とは程遠くなりました。

さていかに寿命を合併症なく伸ばせるか?に医学は腐心しています。

今、世界で肥満治療の選択肢の1つに「外科手術」があがってきた。肥満手術とは、胃や小腸に外科的処置を施して摂取量や栄養吸収の制限により大幅な体重減少、更に合併する糖尿病など代謝性疾患の改善を得ようという治療法です。BMIで30~35以上の高度肥満者が対象となる。1991年に米国で始まり90年代後半から欧米で急速に普及した。

全世界の手術件数は2003年14万6000件、2013年46万8000件、2017年65万件とうなぎ登りである。ほとんどが腹腔鏡下手術である。

切れ味の良い抗肥満薬がないこともあり、高度肥満の治療は洋の東西を問わず大きな問題となっている。

内科治療では限界があるが肥満手術なら30%程度の体重減少が可能であり、ついでに合併症の糖尿病等も改善されることから、これからは肥満手術が日本も急速に拡がってくると思われます。もちろん術後のバックアップ体制の確立が急務です。

私は身体の疲れを治す医師ですが、現実、多いのは「こころの疲れ」ではないでしょうか?

血液検査のように数値化しにくいのですが、心理的な疲労に関心を持つべきだと思います。これは「働き方やコミュニケーション」が要因になることが多い。定年や転勤等も重要な原因である。

50代の会社人間が陥りやすいのが「詰め込みタイプ」である。仕事も遊びもパワフルに楽しむうちにスケジュール帳が余白なくびっしり埋まっている、という人は「予定の詰め込みすぎ」が原因でやがて、うつ気分→うつになることがある。

最初は動きすぎたための肉体的疲労が次にこころの疲労を併発してきます。こういうタイプの方は、では「ゆっくり休む」が治療法かというと、それがまたストレスになる。

とにかく予定が埋まっていないと気が済まない。

一番の対処法は、月に何回かは誰とも会わない日を設ける等して無理にでも休むことです。

あてはまりそうな人は是非、試して下さい。

 

グレープフルーツという名前は果実がぶどうの房のように実ることに由来する。果肉にはフラボノロイドのナリンギンとネオヘスペリジンが含まれており苦みの原因となっている。

一方、文旦はザホンやボンタン、ジャボンとも呼ばれ果皮が非常に厚い。果肉が淡黄色なのが文旦(ボンタン)、赤紫色のものがザボン(ジャボン)と呼ばれている。

高知の高知文旦は400g以上、熊本のザボンの一種、晩白柚(バンペイユ)は1.5~2.5kgもある。京都大の研究グループによるとグレープフルーツは文旦とスイートオレンジの交配種なのだそうである。

グレープフルーツの輸入先はフロリダを抱えるUSAと南ア共和国とで大半を占める。日本での消費は金額、数量共に、さいたま市が1位である。甘いバナナの好きな関西人に比べ関東の人は甘酸っぱい果物が好きなのかな?

文旦の消費は高知市が群を抜いて1位である。

最後にグレープフルーツは多くの医薬品と相互作用を有するため内服と同時に摂らないで下さい。

(追伸)

やはり文旦は、まりかの顔の大きさに匹敵します。

がんばって食べて下さいね。

 

交通事故で来院のAさん。診察の最後に患者さんに必ず尋ねる現在の職業。

するとAさんは「道路の損傷や落下物の処理を担当している」と。

私達はよく道路上に落とし物や動物の死骸、道路損傷などを見つけることがありますが、ほとんどの方はきっと道路管理者が定期パトロールで見つけてくれているものだと思っていました。所がAさん曰く、「もちろん定期巡回もあるがやはり通報してくれるとありがたい。」と。

その番号は#9910(24時間受付、無料)なのです。是非、覚えておいて、通報してくれると、道路が危険状態等から一刻も早く修復されると思います。

「#9910」をダイヤルしますと自動音声ガイダンスが流れますので状況をガイダンスに従って報告下さい。

尚、運転中は良くないので安全な場所に停車してから連絡下さい。

 

恒例の医学部同級会(A組)に出席した。

今回は26名中11名が集まった。(雪の影響で2人欠席。)

65才になると人生も様変わりしてきたのがよく分かる。

みんなの意見をまとめてみた。

①A君・・・働き方改革の委員をしているが医師のとなると、なかなか難しいようである。時間制限等がはたして法律で決められるだろうか?

②I.S.君・・・内科開業25年。検死等に駆り出され大変な毎日。後継者も居ないし果たして・・・。と嘆く。

③I.Y.君・・・公立病院に21年務め、現在就活中。

医者も就活の時代に入った。昨年肺のCTで肺癌が見つかり、無事に手術を終えた。

④K.S.君・・・副院長とケンカしてやめ就活の結果、新たな病院に勤務し始めた。泌尿器科医。

⑤K.Z.君・・・2年前から一切仕事をやめ年金と株の配当(100万/年)で夫婦細々と暮らす。

⑥O.M.-1君・・・19年勤めた所をやめ妻の実家の県で新たな病院に就職。児童福祉の問題は奥が深く1人当たりの時間も長く大変だ、と。小児科医。

⑦O.S.君・・・某大学教授を定年となったが引き続き臨時で勤めている。しかし月収は半分に。官舎住まいで毎晩コンビニ弁当とか。

⑧I.M.-1君・・・耳鼻科開業医。去年1年間でゴルフは112回行った、と。所属コース杯で優勝したと喜んでいた。妻が臨床心理士で、私立病院の教授になって夕食を作ってくれなくなった、と。彼も夜はコンビニ弁当と。

⑨O.M.-2君・・・不妊治療専門医。東京の需要の大きさにみんなたまげていた。「不妊治療」は今や少子化対策の国の目玉でもある。

⑩I.N.-2君・・・小児科開業医。大きな声では言えないが、ワクチンの充実で子供の病気が本当に減ってしまって、経営は苦しい、と。

みんな勤務医、開業医それぞれ悩みを抱えながらも元気にやって行こう、と散会した。

尚、母校はお茶の水駅前に立派な建物として今も尚、造成が続いていて嬉しく思いました。

 

以前に「辛い時ほど笑顔で」というお話をしました。

日経新聞「こころの健康学」に定期的に書かれている、認知行動療法研究開発センターの大野裕先生の文章から今日は引用しました。

「笑う門に福来たる」という言葉は科学的にも正しいとされる。笑顔になると心身が健康になる。こころの内面の動きと表情や姿勢など外見との関係については専門的に「インサイドアウト」と「アウトサイドイン」といわれる関係がある。

(ゴルフのスイング軌道ではありません。)

インサイドアウトはこころの内面(インサイド)が外見(アウトサイド)に影響するという関係。楽しい気持ちになるから笑うし、悲しい気持ちになるから泣く。

アウトサイドインはその逆で笑顔になれば楽しい気持ちになるし背筋を伸ばしてしっかりした姿勢をとれば気持ちに張りが出るという関係です。

まんがを読んでも笑顔で読んだときの方がより面白いという結果がある。

また米大リーグに入団した時に撮った写真が笑顔だった選手は普通だった選手に比べて選手生命が長かったという研究結果もあると。

どうか大野先生の言われるようにスマイルを忘れないで下さい。

(追伸)

2月3日(日)の節分の日。

パパが扮する赤鬼に、はたしてまりかは?

去年は、ばかにして笑っていたが・・・。

温州みかんに代表されるみかんはバナナ、りんごと並んで日本で消費の多い果物である。

温州みかんは鹿児島県で突然変異によって生まれ、江戸時代初期に作出された種のないみかんである。中国の産地「温州」にあやかって命名された。武家社会の江戸時代には家を存続させることが最も大事であり種無しということで敬遠されていた。

童謡「みかんの咲く丘」で歌われているように多くが日当たりのよい斜面で栽培され、接ぎ木で増やしている。

みかんの消費については、金額ベースでは松山市、福井市、さいたま市、和歌山市の順。数量ベースでは長崎市、松山市、浜松市、熊本市の順である。

(余談であるが、オレンジの消費は金額、数量ベース共に富山市が断トツの1位である。フルーツの好きな富山の人たちは一年中安定して入手できるオレンジを好んで食べていると推定されますが、詳しい理由を知っている人は教えて下さい。)

さて1918年~1919年に流行したスペイン風邪(インフルエンザ)は世界的に流行し、2000~4000万人の命が奪われた。アメリカでは対抗策として牛乳(カルシウム)とオレンジジュースがインフルエンザに効果があると信じられ、1920年代のはじめにはオレンジジュースはアメリカの朝食に欠かせないものとなったそうです。ボーリング博士がみかんに含まれるビタミンCがインフルエンザ等の風邪に対する予防効果があると提唱したのは1970年代でした。

みなさん、風邪予防に是非みかんを召し上がって下さい。

 

ももといえば桃太郎。ももの核の中の種子は桃仁と呼ばれ古くから咳止めのほか、産後のむくみなどの婦人病に用いられている。このように病気という邪気を払う力が認められており、それが鬼退治に結びついたらしい。

さて今回、「もも」について考察した。

ももの生産量は山梨県、福島県、長野県の順である。中国が原産で3000年以上前から食用に供されてきた。ヨーロッパにはシルクロードを通りペルシアを経由して伝わっている。英語のpeachは「ペルシアのりんご」という意味です。日本には食用としては明治時代に中国や欧米から伝わりました。

ももの果皮には、うぶ毛がある。果皮にうぶ毛がある果物は他にびわやキウイがあります。うぶ毛は水をはじき腐敗を防ぐ役割があります。果肉のピンク色はポリフェノールのアントシアニンに起因します。

ももに含まれるペクチンは腸内細菌を増やし整腸作用がある。またコレステロール値を下げる作用もあると言われる。

最後に全国一の生産量を誇る山梨県では、7月19日を「やまなし桃の日」と制定している。1月1日から数えて200日目が7月19日であるが、百が2つで百百(もも)だそうである。

まりちゃんも大好きな「もも」の話でした。

(追伸)

まりかの大好きなイチゴの季節がやってきました。

鬼北町の農園にいちご狩りに行ったようです。

 

「剣菱」(けんびし)。酒を飲む人なら知らない人はいないが、業界では取材拒否の蔵として有名で、そのつくりは長らく謎に包まれていました。

ホームページには、「造り手と飲み手。その両者が500年かけて築いたドラマ。その両者によってこれから築き上げられていくドラマ。それが剣菱の歩みです」とある。1505年の創業以来、伊丹から灘へと舞台を移しながら造り続けている。

一昨年、代替わりし、白樫政孝社長になってから情報公開が進んだ。本社蔵を含めて蔵は4つあり季節雇用が90人、社員が10人。なんと製造部隊は100人とすごい。

酒の紹介はここではしませんが剣菱酒造には3つの家訓があるそうです。

①止まった時計でいろ・・・いたずらに流行を追わず愚直においしい酒を造り続けろ。

②酒のためには費用を惜しまず使え・・・手元にある資金は酒を買っていただいた結果。酒づくり以外のことには金を使ってはいけない。

③お客様の手の届く価格にする・・・酒を1部の人の楽しみにしてはならない。利幅の大きすぎる商いは信用を失う。

すばらしい家訓です。私も応援します「剣菱」。

 

平城京の跡地から木簡が大量に発見され、1枚に「鰯」(いわし)という字が書かれている。

「鰯」は「魚」と「弱」を組み合わせ、「弱くてすぐ死ぬサカナ」の意味で作られたが、何と中国ではなく日本で作られた和製漢字なのです。

では中国では何と書くのか?これは「沙丁」と書き発音は「シャーディン」。英語のsardineの音訳語です。何でこんな事になったのか?

中国は東が海に接するが古代文明が栄えたのは黄河流域の内陸部で一生海を見ずに世を去る人の方が圧倒的に多かったのです。それに比べ日本は四方を海に囲まれ生活物資の多くを海から得てきました。

寿司屋でおなじみの大きな湯飲みに書かれる魚ヘンの漢字のほとんどが和製語なのです。

ためになったでしょうか?

(追伸)

写真は最近「寝たふり」をする、まりか。

「狸寝入り」という言葉があります。

「都合の悪いときに寝たふりをすること」ですが、何か都合が悪かったのかな。