世の中、「人の知能はいらない。AIがあるから」という風潮が最近、よく見られる。何でも機械、コンピューターに頼る。それ自体は効率的でスピーディーかつ正確なので時代と共に益々、進化して行くでしょう。

しかし、10月1日の東京株式市場のシステム故障はこの風潮に一石を投じる形となった。日経春秋の10月2日にも書いてあるが、昔は東証には「場立ち」と呼ばれる証券マンが満員電車のようにひしめきあっていた。

超アナログである。手話のような身ぶりで銘柄、株数、売り買いの伝達。中~高年の方なら皆、覚えている映像である。春秋欄では「窮地を救うべく老いた元証券マンたちがハンドサインで売買を再開したらどうだっただろう」と想像を膨らませている。

話は変わって、我々、医療の世界の話。最近は盲腸(虫垂炎)の手術も腹腔鏡で行うようになった。若い外科医は認定数アップのために、とに角、腹腔鏡でやりたがる。ところが東証と同じく、ある日、腹腔鏡の消毒が出来てなかったら「今日は手術出来ません。」と言うらしい。我々、古い外科医はそんな機械はなくてもメス一つでやってきたし、そんな時にすぐに替わってあげられる。

皆さん、コンピューターの現代ー少し立ち止まって考えることも必要ではないでしょうか?

男性の尿のトラブルには前立腺肥大が関与しています。

この危険因子にはメタボがあります。肥満になると「インスリン抵抗性」が起こり、食後高血糖になって前立腺に炎症が起こるのです。また肥満になるとテストステロンも低下します。この「テストステロン低下」も前立腺に炎症を引き起こします。

以前にも書きましたが、テストステロンは男性ホルモンで20才をピークに加齢と共に分泌が低下します。肥満は、その低下を助長します。「メタボ」「うつ」「ED」「下部尿路症状」などはテストステロンを媒介しリンクしています。

テストステロンとうつはリンクしているのでテストステロンが低下すると扁桃体から嫌な記憶が噴き出してしまい、うつや不安などの原因になります。またテストステロンは全身の血管内皮などから放出される「NO(一酸化窒素)」という物質を作り出します。NOは血管を拡張させたり平滑筋を弛緩させたりする働きがあり、全身のしなやかさを保つには欠かせません。

結局、「メタボの治療」「コントロール」「運動習慣」「精神的ストレスの解消」「前立腺の炎症を抑えるサプリの使用」等が大切だと思います。

 

中学生の漢文の授業で習った「断腸の思い」という言葉。それはそれは辛い意味があります。

久しぶりに漢字辞典で復習してみました。

中国の知識人の逸話を集めた文言小説集である「世説新語」(せせつしんご)の中にあります。

晋の武将が船で戦場に向かう際、従者が峡谷で子猿を捕まえて船に乗せた。それを見ていた母猿は悲痛な声を上げながら船を追い百里ほど行った所でようやく船に飛び乗ったが、心労のためか泣きわめいて苦しみ、すぐに死んでしまった。

その後、母猿の腹を割いてみると腸が無残に断ち切れていたと。

この故事から「はらわたが ちぎれるくらいの深い悲しみ」を指すようになりました。

母の子を想う気持ち。よく分かりますね。

「死別」が一番の「断腸の思い」かもわかりません。

加藤諦三さんの本(三笠書房)を読んでみた。

人生の目的は悲しみを背負うことでもなければ、自分の悲しみに耐えることでもないのです。わたしたちは生きる過程で徐々に賢くなればいいのであって、何も悪いことばかりしょいこむ必要はないのです。

トラブルを防ぐ7つの原則がありました。

①自分が努力しても、できないと思ったら手を出さない。

②今の状況をそれがどんなものであるかではなく、どんなものになっていく可能性があるかによって判断すること。

③トラブルは絶え間なく成長すると覚えておくこと。

④将来的にそれが耐えがたいものになるかもしれない、と見抜く知恵を持つこと。

⑤トラブルに対し、はねつけるだけの勇気をもつこと。

⑥「そんなに深刻にはならないでしょう」と親しい者に言われても信じないこと。

⑦トラブルがどうしようもなく大きくなったら、そこから逃げだすための度胸を持つこと。今すぐに。

 

にっちもさっちもいかなくなる前に手を打って下さい。

我々は一生トラブルとの闘いになりますから。

 

 

9月になって暑くても世の中は秋モード。

秋の味覚のひとつがサンマです。この間まで一匹100円で庶民の味方でした。ところが今や1000円では買えません。乱獲もあるのでしょうか?

さてここで「目黒のさんま」の話を思い出してみましょう。これは落語の噺の一つです。間違っても昔は目黒でサンマが捕れていたなんて人前で話すと大恥をかきます。

簡単に復習してみます。タイなどの高級魚しか食べたことのないお殿様がタカ狩りの途中、腹を空かせた。ところが供が弁当を忘れた。そこへ嗅いだことのない旨そうな匂いが漂ってきた。殿様が匂いの元を尋ねると、さんまという下衆魚だと言う。腹の空いた殿様が炭火で焼かせ食べた所、非常に美味でその後、大好物となった。

それ以来、「さんまは目黒に限る」と断言するようになった殿様。世俗に無知な殿様を風刺する話でもあります。

なんとかサンマが手に入らないですかね。

 

8月の日経新聞に猛暑リスクについて詳しく話してあった。

地球の温暖化は灼熱の暑さをもたらし「熱リスク」が人々の健康や経済を蝕(むしば)もうとしている。

今年も熱波が世界を襲った。カリフォルニア州デスバレーでは8月、気温54.4度を記録した。フランスやスペインでも40度を超える日が続き、当局が警戒を呼びかけた。

ILOが特に指摘するのが「熱ストレス」である。熱ストレスで失う労働時間が30年までに世界で2.2%に達し、経済損失は250兆円になる。

世界の気温は既に産業革命前より1度上がった。1度程度でも熱ストレスが心身を侵す。目まいや極度の疲労は企業のサプライチェーンなどに悪影響を及ぼし生産活動や食料供給の停滞を招きかねない。

03年に起こった熱波ではフランスで死者が1万5千人に上り社会が大きく混乱した。

欧米の研究チームは今世紀末にかけて海面が1.1m上がるという脅威を訴えている。蚊が媒介するデング熱は1970年以前は流行が9ヵ国であったが現在は100ヵ国以上に広がっている。頻発する洪水もコレラの感染者を増やした。

温暖化のリスクはコロナ以上に深刻だと思います。知恵を絞らないと地球が終わってしまうと感じます。

(追伸)

猛暑もそろそろ一段落し、ゆうちゃんも運動会でした。運動会はやはり秋が一番。

見学に行った まりかでした。

 

 

前回に引き続いて面白そうなのを選びました。

眼を病んで 夢は眼医者を 駆け巡り

ご存知の芭蕉の辞世「旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる」のもじり。

ねた人を さじで起こすで はやるなり

さじは薬の配合に用いられることから医療の代名詞。

寝込んでいた病人に適切な薬を与えて回復させた、即ち起き上がるようになった・・・といった実績で名医として評判が高まり患者が集まってくる。

脈を見て 逃げた流石(さすが) 名医なり

評判を落としそうな難病人には手を出さない。「診立て」の能力も名医の条件であった。

痘神に 惚れられ娘 値が下がり

天然痘の発疹は顔面に多数の瘢痕を残し、容貌は著しく損なわれた。

はやり風 十七屋から 引きはじめ

十七屋は飛脚のこと。各地を飛び回る稼業はインフルエンザをもらいやすい。

 

以上で終わりますが、川柳から見た江戸の医者。面白いですね。

 

イチジクは夏から出回り始め9月に旬を迎えます。

イチジクは毎年、福岡で病院長をしているO先生から送ってくれますが楽しみの果物です。

イチジクは実の内側に花をつけて外からは花が見えないため「無花果」という漢字が当てられています。別に「不老不死の果物」とも呼ばれています。それはさまざまの栄養素が入っているからです。

①食物繊維・・・イチジク100g当たり、1.9ℊ含まれていて水溶性食物繊維ペクチン(0.7g)は水分を保持し小腸において栄養素の消化吸収スピードを遅らせます。また不溶性食物繊維(1.2g)は便通を促進する作用もあります。

②鉄・・・貧血対策に重要です。

③フィシン・・・タンパク質を分解する酵素です。そのためイチジクの果汁に肉をつけておくと肉が軟らかくなります。

④糖質・・・1個あたり8.7gと少ないです。

以上、血糖値が上がりづらく、ミネラルが豊富なイチジクを夕食に食べて下さい。

(追伸)

読者の皆様にお知らせです。くに~ず新聞は現在、春号(Vol54)を配っております。

本来なら10月より秋号を配るのですが、今回は院内職員もコロナ感染対策に追われ、また原稿依頼の方々も気分的に落ち着かない状態であることを鑑みて、コロナが落ち着くまでは延期とさせていただきます。苦渋の決断をどうかお察し下さい。

一刻も早いコロナの終息を願っております。

 

 

落語と並んで古川柳の世界でも医者はしばしば取り上げられている。

人情と笑い、そしてお色気にも溢れた江戸川柳の世界の一部を出しました。

医者の奥の手もやはり逃げるなり

責任逃れのヤブ医者たち。

唐本(とうほん)は かごに乗るとき ばかり入れ

唐本は中国の古典医書。ろくに読めもしないのに見栄を張って持ち歩いている。今も居ますね。

お脈をと 我が為ならぬ 手をあぶり

冷たい手で病人の肌に触れないようにするのも良医の心遣い。

医者のあと 石屋にかかる 残念さ

サジを投げた医者のあとは僧侶(葬儀)と石屋(墓石)の出番となる。

親の目を 盗んで息子 鼻が落ち

悪所に通って梅毒となったのだ。

また面白いのをいつか載せますね。

 

 

 

世界で「地域おこし」が行われている。

例えば、精神病院に入院中の患者さんが退院して住める場所を地域に作ろうとしよう。

世界どこでも精神疾患に対する偏見があり、住民は反対することが多い。

しかし今は「地域おこし」はとても重要なことである。地域の産業は衰退し皆で力を合わせる、という団結力は必須である。銃社会のアメリカ等では、とても難しいと聞く。

さて私たちが何かをするとき「うまくいかなかったらどうしよう」と心配しているときよりも「うまくいけばどうなるだろう」と前向きに考えたときの方が成功する確率がずっと高いことがわかっています。

難しいけれど「前向きに」がキーワードです。

 

(追伸)

ディズニー映画「リトル・マーメイド」の主人公「アリエル」。今でも大人気です。アリエルは7人娘の末姫。

まりかも末娘として、その世界に浸っています。

ゆうちゃんがせっせとお手伝いです。